私は子供の頃から、「本当にそうだろうか?」と考える変な子供でした。ミャンマーに関しても、一般に言われていることや、ガイドさんが説明していることが本当にそうだろうか?と常々思う変な習性があります。1996年「ミャンマー観光年」に初めて行った国ミャンマー。有名な観光地パガンに行った時、若い女性のガイドさんが、「たくさんのパゴダを建立するために、たくさんのレンガが必要です。レンガを作るためにたくさん木が伐採され、それでパガンは乾燥地帯になったのです。」と説明してました。ずいぶん後ですがある印刷物を見せられました。ガイドのための指南書にそう書かれていたので、丸暗記して喋っていることが解りました。今は昔の気候も科学的な方法で知ることが出来ます、それによるとパガン地方は数千年前から乾燥地帯だったそうです。
今回は、あのニューヨークの代表的なシンボルの「自由の女神」についてです。中学生の頃から、これって女性なの?私には男に見えるんだけど。太い腕 逞ましい骨格、分厚い長衣に覆われていて、女性らしい特徴は何も見えません。英語でthe Statue of Liberty です。女神という言葉は入っていません。この像をアメリカに贈ったフランスでは、どう言われているかというと、la statue de la liberte’となっていて、どちらも単に「自由の像」です。他も色々調べましたが、女神としているのは他にありませんでした。最後に中国語を見てみると、原因が分かりました。「自由女神」となってました。つまり日本は中国語を真似たんですね。すると、友人は、「自由」という漢字は明治時代の福沢諭吉の作った言葉だから、中国の方が真似しているのだと言われました。
あの像は自由のシンボルとして、アメリカがイギリスから独立100周年を記念して、フランスから贈られた像です。長髪なのはヨーロッパでは男性が公式な場ではロングのカツラを着用する習慣がありました。音楽家のバッハやモーツアルトなどの肖像画もみなカツラ着用です。ベートーベンはカツラを嫌がって、着用しなかったそうですが、それでモジャモジャ頭が彼の個性になりました。またギリシャやローマ時代の彫像なども、神官や政治家なども長衣を身につけています。ずいぶん昔ですが、2回目にニューヨークに行った時に、実際に見てもやはり男か女か判別できない像でした。しかし、どでかい体格、長衣の裾からのぞいてるデカすぎる足。総体的に見ると「自由の女神」が女性であるという根拠は甚だ脆弱です。たぶん「自由の像」より「自由の女神」の方が言葉としてインパクトがあるぐらいが理由なのでしょうか?
2003年に長年パリに住む高校の同級生の家に10日間もお邪魔したことがあります。私はフランス語は一度も勉強した事はありません。友人がいうには、「フランス語の名詞は男性名詞と女性名詞に分かれる」と、言っていたのを思い出して、「自由」と「像」を調べてみたら、どちらも女性名詞だった。でも友人がこんな事も言っていた。「例えばテーブルは女性名詞、椅子は男性名詞。でもこれは性別を直接表している訳ではない」とも言っていた。「自由の像」は女性名詞2つで出来てはいるが、女性を表している訳ではないという事でしょうか?
そこに、件の友人が、ニューヨークの「自由の女神」のモデルは、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」と言って来たのです。でもこれも、原題のフランス語は「Liberté de guider le peuple 民衆を導く自由」だそうです。日本人はよくよく「女神」が好きなんでしょうか? あの絵は「自由」という抽象的概念を女神の姿で表したものだとか?この絵は女性とすぐ分かりますね。ニューヨークの自由の像も女神と呼ぶなら、もっと女性としての特徴が欲しいですね。ギリシャ神話の狩猟の女神アルテミスも、大理石像等かなり逞しく作られていますが、ちゃんと女神とわかります。
結局、ニューヨークの「自由の女神」像は、男か女か分からないままです。
ただ、「なんであれ、疑ってみる」という私の視点を、申し上げたくてこの難問を取り上げた次第です。
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