海外移住24年 ミャンマーで終活 幸福論1
以下の文は福岡高校の同窓会のwebsite に毎回「あの人は今」というコーナーがある。そこの私は最多執筆者だろうと思う。よく依頼が来るのだ。この回の文章は海外で老後を過ごすヒントになるのではないかと思い。2018年に書いたものに少し手を加え掲載する。
ヤンゴンで犬猫とただ日々 ゆったりと暮らし、絵を描きが続けている事には変わりがない。2016年の5月イタリアを2人の旅友と、3人とも絵を描くので
主に毎日美術館や博物館巡りをやっていた。北のミラノから入国して、トレント、ヴェネチア、フレンチェ、ローマ、ナポリと南下してきて、ポンペイの遺跡を見た夜に、妹から姉が危篤というメールが入り、急ぎ帰国した。
6月1日に姉が亡くなった。69歳だった。両親、兄2人(福高7回と22回)も5人が60歳代で早々と逝ってしまう家系。下の兄などは60歳になって数日で亡くなってしまった。なので、これを現実として受け止めている。ヤンゴンでも数々の病気をして来ている自分には健康に暮らすという事は大きな課題である。少し希望があるとすれば、母の両親は二人共95歳の長寿だった事と、祖父は絵を嗜み、子供の頃から顔も祖父に似ていると言われてきた事だ。病気の合間に生きていた50歳代に比べ、60歳超えてからの方が病気しなくなった事も、小さな希望にはなってきている。
高倉健が3年前に亡くなった。その前年に2時間、亡くなってから1時間NHK の衛星放送で高倉健へのロングインタビューを放映していた。実際は100時間撮影したそうだ。その番組の中で、役者として大成功を収めたであろう高倉健が、最後に「幸せになりたいです」とボソッと言った言葉が忘れられない。1週間後やはりNHK (しか家では見れないし)で、林真理子も同じことを言っていたのに驚いた。富も名声も得た人でも幸福を求めているということは、幸福とは人生の一番の最大の目的ではないかと思った。
先日NHKの番組Super Presentationで、「What makes a good life?」という表題でハーバード大学の「成人発達プロジェクト」の4代目所長ロバート.ウォールディンガー氏のプレゼンを見た。
1938年から、ハーバードの学生からボストンの最貧困層の子供まで724人を75年間以上追跡調査したリポートである。そのうちの60人は今尚90歳代で健在だと。
現在の若者に人生の目的のアンケートを取ると、80%が「金持ちに成る事」、50%が有名になる事だそうだ。ここミャンマーだと金持ちに成りたい願望は100%近いと思う。実際私なども20代の頃は同様だったと思う。人の記憶はあまり当てにならない。(本当に当てにならない、ほとんど自分の都合の悪いことは忘れている)それで、この企画は75年間、2年に1度インタビューを繰り返し、そのデーターを75年間保存し、各分野の専門家が分析したものである。
結論を先に言うと、幸せになるには「いい人間関係が最も重要」という結論になったそうだ。724人のうち孤独だった人は、5人に1人。その人たちは寿命も短い、健康も悪化、誰かに頼れない状態では脳が低下するという。
長寿の人は遊び仲間を作った人。家族、友人。地域の人達との付き合いなど、頼れる人がいると、脳が守られるのだ。最後にマーク トウェインの言葉を引用していた。人生は儚い、人との争い事や、愚痴を言ってる暇はない、いい人間関係を築くことだと。
ここミャンマーで、それほど多くの親しい友人がいる訳ではない。しかし、24年の間に多くのミャンマー人に接してきたし、彼らに支えられての24年間だったと感謝している。
今はFaceBookでも多くの友人とも繋がっている。英語表記の本名で登録しているので、15年ぶりに見つけてくれたタイ人の友人もいる。福岡高校24回の友人も中洲時代の友人や元部下とも繋がっている。
そもそも60歳過ぎて美術学校の校長に師事して、絵を本格的に習い始めたのも友人達の影響だ。
また2013年からFBを通じて親しくなった、長野在住で年は2つ上の美魔女で同じヤンゴン外国語大学出身で、またミャンマー人に手酷く騙され裁判所に通いつめた経歴まで似ている渡辺和子さんとは、すぐに友人になった。
ビルマ語も私より上手く、何よりミャンマーのあちこちに学校を建てて、他の支援者はそこで終わっているケースがほとんどだが、彼女は2・3ヶ月に一度ミャンマーに来て、ずっとそれらの学校と子供たちの支援を続けている。
暇人の私も一緒にミャンマー各地にある学校を回るという名目で、あちこちの名所旧跡にも一緒に足を運んでいる。上記のイタリア旅行も一緒だった。その彼女が水彩画と縄文土器の製作もやっていて。2016年1月にヤンゴンの有名ギャラリー65で、「二人展」を一緒に開催した。ミャンマーのテレビ局6社とジャーナルなど5、6社からもインタビューされ、二人共ミャンマー語で答えたのが評判になったのか、何度も放映されて、遠く地方に住む複数の友人からもテレビで見たよと電話がかかってきた。いろんな人との刺激で自分の人生が実に豊かになって来ていると思うこの頃だ。
最後になるが、
幸福度は他人と比べる事じゃないと思う、自己採点で良いのだ。
満点にはあまりに程遠いが、私は自分のこれまでの人生に割と満足しているし、運が良かったと感謝している。でも死ぬまでが人生なので、これから先はどうなるかは誰にもわからない。不安もあるが楽しみでもある。若い時のように明日は明るい日だと信じたい。
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